イチジク

2013.9.23 南房総市産
2013.9.23 南房総市産

イチジクの旬の時期になりました。上品な甘みとネットリとした食感がいいですね。

食べる前に果実の断面を見てみましょう。

白い部分は花序軸が多肉化した部分。花序の中央部が凹んで壺状になっており、そこに多数の小さな花をつけます。上の写真では、赤い部分がその花が熟した部分です。
このようなタイプは、イチジク属に特異なもので、イチジク状果(synconium)と呼ばれます。

2013.9.23 南房総市産
2013.9.23 南房総市産

内部を拡大してみます。ニョロニョロのように見える部分1つ1つが花の熟した部分。先端付近に黄色いゴマ粒のような痩果が見えます。

たくさんの花が集まって熟した果序があたかも1つの果実のように見えているわけです。

底面の中央付近には小さな孔が開いており(上の写真の左端)、この孔を通って小さなハチ(イチジクコバチ)が中へ入り受粉を助けることがよく知られています。日本の栽培品種はすべて雌株で自家結実性があるので、このイチジクコバチによる受粉は行われていないのですが。

ちなみに、このイチジクはこの後、イチジクのタルトに調理してもらいました。美味。美味。
生食もいいですが、加工した方がイチジクの美味しさがひきたつ気がします。

コガシワ

2013.9.19 南房総市にて採集
2013.9.19 南房総市にて採集

コナラとカシワの雑種の”コガシワ”。

嫁さんが海岸近くの公園で見つけてきてくれた標本を、撮影台でマクロ撮影しました。

まず、殻斗に注目してみます。
カシワの殻斗の総苞片は長く、その先が反り返りますが、このサンプルではそうなっていません。
殻斗の総苞片が瓦重ね状に圧着するコナラとのちょうど中間的な特徴を示しています。

果実もちょっと細長い丸型で、これもカシワとコナラの中間的な形です。

千葉県では、房総半島南部の海岸地に、このコガシワが分布していることが報告されています。