海岸を歩いていると、10月の台風の爪痕をいたるところで目にします。
今までなかったところに大きな岩や礫が堆積していている場所があったり、新たに砂で埋まった場所がある一方、砂浜自体が削られた場所もたくさんあります。
上の写真も砂浜自体が削られた場所で目にした光景です。
写っている植物はハマオモト(Crinum asiaticum var. japonicum)。
通常は、海岸の最前線ではなく、それよりも陸側で一段上がった場所に、ハマゴウなどと一緒に生育していることが多いです。
上の写真でもハマオモトのすぐ後ろに見える砂の部分と同じぐらいの高さまで砂が堆積していたはずなのですが、その部分がごっそりと削られて、普段は地下に埋まっている偽茎(茶色の円柱状の部分で、多数の葉鞘が順次重なってあたかも地上茎の見える)がすべて露わになってしまっています。
偽茎の下からは、がっしりとした太い主根が放射状に伸びています。
せっかくなので、この主根がどれくらい伸びているのか砂を掘って調べてみました。
主根は30cm以上伸びた先で側根を分岐させていました。
これだけの長さの主根を高密度で放射状に伸ばすことによって、あの大きな植物体を支えているんだなぁと妙に納得しました。
何気なく葉の付け根をめくって見つけたのがこの芋虫。
この黒と白の禍々しい模様があるのは、ハマオモトヨトウに間違いありません。
まさか、幼虫の状態で越冬している個体がいるとは知らなかったので、非常に驚きました。
いくら暖かい海岸地域とはいえ、無事に冬越しできるのか気になるところです。