植物群集を撮影する視点

どのような環境立地にその植物が生育しているのか?
その植物が他のどのような植物と一緒に見られるのか?

このような群集生態学的な視点を1枚の写真で表現するのは、一筋縄ではいきません。

周囲の環境を含めるには、画角の広い広角レンズで撮影するのが真っ先に思い浮かびます。しかし、単に広角レンズで撮影しただけでは、個々の植物が小さく写ってしまうのです。小さな花や葉を見て植物の種類を同定できる専門家なら解読できるでしょうが、一般の方には、何が写っているのか皆目見当がつなかい難解な画像になってしまいがち。

かといって、1つの植物だけをクローズアップして撮影すると、その周囲の環境の情報が切り捨てられます。

この相矛盾するような2つを両立させる方法が必要になるのです。

昆虫写真の分野では、小さな昆虫をその周囲の環境を含めて撮影する手法が既に開発されています。その1つが、昆虫写真家の海野さんが開発された、魚眼レンズとテレコンバーターを組み合わせた手法。

早速、近くの海岸でで試写してみました。

結果は上々。

真ん中のある黄色いキク科の花がハマグルマの花。
ハマグルマが優占する海岸砂丘の植物群落をその周囲の環境の様子を含めて捉えることができました。