寒風吹きすさぶ冬の海岸。
いきもの観察にはオフシーズンかとおもいきや、この時期に出現するキノコがあります。
そのキノコに出会うために、県北の海岸へ。
この海岸をくまなく歩きます。
一口に海岸といっても微環境は様々。
砂の堆積で出来た微地形による違いがある上に、成立している植物群落も変化します。コウボウシバが点在する海岸の最前線から始まり、コウボウムギ、オニシバが生える場所があり、もっと安定した場所のケカモノハシの群落、さらに内側にチガヤが密生した場所へと大まかには移り変わっていきます。
その微環境の違いを意識しながら、目ぼしいところから探索していきます。
ですが、なかなか見つかりません。あーそんなに甘くはないよなぁ。
ちょっと休憩し、もう一度気合を入れて探し始めたところ、こんな光景が目に飛び込んできました。
コウボウムギとオニシバが優占する群落の中で、穴のようにあいた砂の窪地にそれはありました。
一瞬、日に焼けた小さなウニの殻が落ちているように見えますが、雰囲気が違う!
やっと、見つけました!
これがお目当てのケシボウズ属(Tulostoma)のキノコです。
1cmちょっと(12mm)の大きさの丸い頭部の真ん中に孔が開いています。ここから胞子が外へ放出されます。
丸い頭部の下には長い柄があります。海砂が付着している部分が地下に埋まっていたところです。全長の長さは3cmちょっと(34mm)。
カバーガラスへ胞子を移し、顕微鏡で検鏡します。
このキノコの種類を見分けるにはこの作業が欠かせません。
網目状の構造が見えるので、ナガエノホコリタケ(Tulostoma fimbriatum var. campestre)に同定しました。
このTulostoma属の仲間が分布している海岸や砂地を南房総で探しているのですが、なかなか見つかりません。
探索はまだまだ続きます。