イチジクの旬の時期になりました。上品な甘みとネットリとした食感がいいですね。
食べる前に果実の断面を見てみましょう。
白い部分は花序軸が多肉化した部分。花序の中央部が凹んで壺状になっており、そこに多数の小さな花をつけます。上の写真では、赤い部分がその花が熟した部分です。
このようなタイプは、イチジク属に特異なもので、イチジク状果(synconium)と呼ばれます。
内部を拡大してみます。ニョロニョロのように見える部分1つ1つが花の熟した部分。先端付近に黄色いゴマ粒のような痩果が見えます。
たくさんの花が集まって熟した果序があたかも1つの果実のように見えているわけです。
底面の中央付近には小さな孔が開いており(上の写真の左端)、この孔を通って小さなハチ(イチジクコバチ)が中へ入り受粉を助けることがよく知られています。日本の栽培品種はすべて雌株で自家結実性があるので、このイチジクコバチによる受粉は行われていないのですが。
ちなみに、このイチジクはこの後、イチジクのタルトに調理してもらいました。美味。美味。
生食もいいですが、加工した方がイチジクの美味しさがひきたつ気がします。