フウランの根のおもしろさ

着生植物がある樹木の表面というのは、実は過酷な環境です。

成長に必要な栄養分は主に空気中からしか得られず、水分も時折やってくる降水だけが頼り。

そこで、着生植物はその過酷な環境に適応するための戦略を発達させました。

その戦略の1つが、着生植物によく見られる太い根。
写真は、木付けしたフウランのものです。

白く見える部分は、多層の表皮から構成されている”根被”と呼ばれる組織からできています。
降水時に水分を吸収し、吸収した水分をその根被の部分に貯めこんでおけるような仕組みが発達しました。
この仕組みがあることによって、安定して水分を得ることができない樹木の幹や枝先でも、着生植物が生き残っていけるわけです。
ラン科以外にも、サトイモ科やタコノキ科の着生植物で、同じような根の構造を観察することができます。

フウランの根については、もう1つおもしろい話があります。

先日の投稿で、フウランには栽培の歴史が長く、色々な種類の品種があることに触れました。
園芸植物の多様な品種を鑑賞するポイントとしては、花や葉の部分の違いに着目するのが一般的ですが、フウランに限っては、この太くて目立つ根も重要視されます。
根の先端の色によって、”青根”、”赤根”、”泥根”、”ルビー根”といった専門の用語が付けられているほど。

数ある園芸品種の中でも、根まで鑑賞対象とする種類というのはあまりないのではないでしょうか。