強い西風の贈り物
下から見上げたシルエット
サラシナショウマの袋果は上を向く
秋に林縁を白い花で彩ったサラシナショウマ。
初冬を迎え花の時期も終わり、若い緑色の果実が熟し始めました。
おもしろいのが、この果実の向き。
花は総状で軸に対して外向きに花を咲かせます。
この時期になると、下向きに花を咲かせていたものがくるっと向きを変えて、果実はすべて上を向くようになるのです。
ハコネシダ
北側に面した大きな岩の露頭。そんな場所に見られるシダの1種、ハコネシダ。
園芸種でよく見かけるアジアンタムの仲間です。
狭扇形のかわいらしい葉もそうですが、個人的には光沢のある赤褐色の枝に魅力を感じます。
よく似たホウライシダとの区別は、葉裏を見ればすぐわかります。
ハコネシダは、1つの小葉にソーラスが1つだけ付いています。
このハコネシダ、清澄周辺から南房総市北部の富山・御殿山にかけての丘陵地には比較的普通に見ることができる一方で、館山低地以南の丘陵地にはまったく見ることができません。
このようなローカススケールでの分布パターンを詳細に追っていくと、色々な面白いテーマが見つかりそうな気がします。
ビワの花が咲き始めました
11月後半から見られる白色のビワの花。
サイズが小さく、横~下向きに花を咲かせるので、あまり目立ちません。
萼、苞(ほう)や花弁の内側の基部付近にまで、褐色の綿毛が密生して生えています。
寒い時期に花を咲かせるだけあって、防寒対策もばっちりです。
ボタンヅルの果実
果実の先端に、羽毛状になった花柱が残っています。風散布の仕組みの1つ。
房総周辺だと、コボタンヅルの方が多く、ボタンヅルは少ないです。
なんとか、結実した個体を見つけました。
アカガシのどんぐり
暖かい日差しを浴びて耀くアカガシの堅果。
アカガシを含むコナラ属アカガシ亜属の殻斗(どんぐりの”帽子”と一般的に呼ばれる部分)は、鱗片が合着して同心円状の環が並ぶのが特徴。
ちょっと丸みを帯びたフォルムがかわいいどんぐりです。
秋の彩り
サルトリイバラの果実が色付いてきました。
まさに秋の彩り。
実付きの良い個体が少ないので探すのになかなか難儀しました。
今まで”実付きの良い個体はどこに生育しているのか?”という視点が欠けていた証拠。
しっかりテーマを持ってフィールドに出ないといけないと反省しました。
色々と巡っている中で、やっとコツが掴めてきて、現場でのヒット率が徐々に上がってきました。
上のサルトリイバラは、自然光を利用した簡易撮影台を作って撮影しました。
といっても、家にあるありあわせのもので作る簡単なもの。
小さな机の上に障子紙を敷き、その上に被写体を載せています。
撮影の際に小さなゴミが落ちたり、汚れが着いたりするので、この障子紙にはプラスチック障子紙のタイプが便利です。
これなら、簡単な汚れなら水拭きで簡単に落とすことができます。
年末の大掃除の時期が近いので、近くのホームセンターで簡単に手に入るでしょう。
メインライトは、午前中に縁側に差し込む光で、この光を障子紙で拡散させて大きな面光源としています。
あとは、ディフューザーを取り付けたストロボ1灯とレフ板で光の具合を調整して、縁側撮影スタジオの完成です。
青空にオギの穂が揺れる
今年は11月中に大霜が2回も降りました。ここ数年来なかったことです。
オギの葉も黄色くなり、その穂が風に揺れて、青空に映えます。まさに深まる秋の光景。
季節に追い立てられるように、撮影が続きます。
イソギク
千葉県の準絶滅危惧種ですが、南房総の海岸では群落を形成している姿が比較的普通に観察することができます。
分布域は、伊豆諸島と本州の静岡県御前崎~千葉県犬吠埼にかけての地域。伊豆諸島で種分化したものが、本州に再上陸して分布を広げたとされています。
植物地理学の分野では、北は八ヶ岳・赤石山脈から関東山地、富士箱根火山をへて伊豆半島に、東は房総半島まで、そして南は伊豆諸島のこれらの地域にだけ特異的に分布する植物の一群のことを”フォッサマグナ要素”と呼びます。イソギクはこのフォッサマグナ要素の代表的なものの1つ。
晩秋に入り、つぼみが膨らんできました。
ガマズミ
里山の秋を彩る代表的な低木。