結実期を迎えたハマゼリ。一緒に生えているのは、イソヤマテンツキ。
海岸の砂地に生育する個体は、上の写真のように草丈は非常に低くなります。
果実の隆条(表面の隆起)は太く、そのすべてがほぼ同じ形状です。
越冬に向けて、新たに形成されたロゼット葉。光沢のある羽状複葉の様子がよくわかります。
結実期を迎えたハマゼリ。一緒に生えているのは、イソヤマテンツキ。
海岸の砂地に生育する個体は、上の写真のように草丈は非常に低くなります。
果実の隆条(表面の隆起)は太く、そのすべてがほぼ同じ形状です。
越冬に向けて、新たに形成されたロゼット葉。光沢のある羽状複葉の様子がよくわかります。
海岸付近の磯の上や水たまりのような湿地に生育するカヤツリグサ科のイソヤマテンツキ。
護岸工事や埋め立て等により生育地がなくなり、見られる場所が少なくなってきている植物の1つ。
県南部の沿岸域にはまだ点々と生育地があり、特に南房総周辺にはこれが多産する場所がいくつか知られています。
これらの写真は、その産地の1つで撮影したもの。この産地では、地層の向きの関連からか豊富な淡水が湧き出ている場所があり、その細い水の流れや水がたまった場所の周辺にこのイソヤマテンツキが優占した群落が見られます。
台風の風雨の影響で、縮れた葉が多い状況でしたが、小穂を無事に観察することができました。
光沢のない褐色の小穂を3〜5個つけます。小穂に稜角はありません。
湿性の林の林縁などに見られるウリ科の1種。
大きさが1〜2cm程度の小さな果実をつけます。
カラスウリが赤く熟すのに対して、こちらのスズメウリは白色に熟します。
果実の表面が平滑なのも、近縁種との識別点の1つ(スズメウリ属の特徴)。
葉は卵円形で、縁には浅い鋸歯があります。基部は心臓形です。
ナス科の落葉低木。
クコの葉や果実には薬効作用があり、過去には盛んに植えられた時期がありました。
そのため、人里周辺の路傍などで今でも普通に見られます。
先日の台風の強風によって葉はなくなってしまっていましたが、この赤い果実は大丈夫でした。
日本から中国、ヒマラヤにかけて見られるホトトギス属の1種。
和名の”ホトトギス”の由来は、この紫色の斑紋。鳥のホトトギスの胸の模様に似ていることから付けられたそうです(余り似ていない気がするのですが)。
上向きの花を咲かせて、茎に斜上毛があることが特徴。
林縁や崖地などで見られることが多いです。
ススキ草原で見られる植物の代表的な種類の1つ。
花は鐘形。先端は5裂に分かれ、やや下向きに花を咲かせます。
秋の里山の林縁を彩る代表格。
あまり強い日差しが差さない立地に多いです。
果実の色は、成熟度合にともなって橙色〜赤色まで様々なグラデーションが見られます。
今回は、登熟の進んだものをセレクト。その深い赤色に魅了されます。
果皮を剥いてみると、黄色い中身が見えてきます。
これは、種子を取りまく”胎座”。
果物のメロンを例にすると、種と果肉との境目のあたりのグジュグジュした部分に相当します。
カラスウリもメロンはどちらもウリ科に属するので、同じような構造を持った果実をつけます。
ちなみに、黄色い部分を口に含むと、甘い!と同時に、青臭くて苦いです。
特に好んで食べるものではありません。
この黄色い胎座を取り除くと、ツヤツヤした光沢のある、焦茶色の種子が出てきます。
この光沢は、種子が乾燥するにつれて失われてしまうので、すぐに撮影します。
黄色い胎座はぬるぬるしていて取りにくいので、中身をザルにあけて、流水を流しながら作業すると取りやすいです。
種子の表面には、微細な縞模様があり、種子が乾燥してくると深いしわが形成されます。
種子の形は非常に特徴的で、両側に張り出した部分があります。
中身は真ん中の部分だけに詰まっており、この張り出した部分は一部が空洞になっています。
水辺に生育する植物の中には、浮袋の役割を果たすような構造がある種子をつくり、その種子が水によって散布されるものがあります。(例えば、果嚢が膨らんで水に浮くオニスゲの事例など)
このカラスウリの種子も一見すると、そのような水散布をする際に役立つ構造をしているように見えるのですが、詳細は不明です。
青い果実がたわわに実った、アオツヅラフジ。
鮮やかな果実が目を引く季節になりました。
それでは、果実の中身を見てみましょう。
青い皮を剥がすと、粘性のある、緑色の果肉があります。
種子はこの果肉の中に包まれています。
果肉を取り除くと、表面にしわのある種子が出てきます。種子の大きさは3〜4mm程度。
同じ種子を反対から撮影してみました。
アオツヅラフジの種子には、表面のしわの入り方に特徴があります。
”芋虫が丸まった形”とか、”アンモナイトの化石”に似ていると言われたりもします。
房総半島を北限としている植物は数多いですが、このカギカズラもその1つ。
東南アジアを中心に分布しているアカネ科カギカズラ属の植物で、カギカズラ属では、日本に唯一分布している種です。
千葉県内で見られる場所は清澄周辺と長南町の2箇所と、分布はとても限られています。
カギカズラの花は、多数の小花が集まった球状の頭状花序をつけるのが特徴。
花冠は浅く5裂し、やや黄色味を帯びた緑白色で、基部は淡赤褐色をしています。
先端が棍棒状となっている雌しべが花冠の外に長く突き出ています。
名前の由来は、葉腋に見られるこの湾曲した鋭い”鈎(かぎ)”。これは、側枝が変化したものです。
この鈎で他のものにからまって伸長し、大きい個体では10m以上にもなります。
この”鈎”は、漢方では”釣藤鉤(ちょうとうこう)”という名前で知られ、鎮痙剤や鎮痛剤として利用されてきました。
近年では血圧を下げる効果があることが報告され注目されているそうです。
※撮影の際には、開花状況等の情報を内浦山県民の森のYさんにご教示頂きました。
ご丁寧に対応して頂き、本当にありがとうございました。
海岸園地に植栽されていたコウシュンシバ。
本来の花期は5-7月とされていますが、10月のこの時期にも花を咲かせている個体がありました。
上の写真は雌性期の花で、白くフワフワしているように見えるのは雌しべの柱頭。
風媒花の柱頭は、効率よく花粉を捉える工夫がなされていて、見ていて飽きません。
カヤツリグサ科のテンツキ属の1種。ビロードテンツキ。
根茎が横に短く這い、高さ10~20cmと低い草丈です。
館山市内の生育地の1つは、海浜よりも内側に入った海岸砂丘の半安定帯の中にあります。
このビロードテンツキが優占する場所にはニッポンハナダカバチの営巣も見られます。
茎や葉にはビロード状の毛が密に生えています。これが名前の由来。
9月から10月にかけて、3~10個の小穂を頭状につけます。
広卵形の鱗片にも短毛があります。
秋の七草として知られているオミナエシ。
近年は生育場所である草地の減少にともなって、このような群落が見られる場所も減ってきました。
遠くからでもよくわかる鮮やかな黄色の複集散花序を形成します。秋の風情を感じる色合いです。
その花序を形成している小花を拡大したもの。大きさは4mm程度。
黄色の花冠は5裂して、独特の質感があります。
筒状になった部分の内部には細毛が密生しているのがわかります。