砂丘の中の一角にある自然草地。
よく見ると、あんなのも、こんなのも、色々あります!
新米の発送が一段落するこの時期、毎年訪れています。
砂丘の中の一角にある自然草地。
よく見ると、あんなのも、こんなのも、色々あります!
新米の発送が一段落するこの時期、毎年訪れています。
日当たりの良い道端なのどに見られる多年草。
葉は根生葉のみ。よく見慣れた光景ですね。
花茎を伸ばして、小さな花が多数集まった穂状花序を形成します。
緑色の萼片の隙間から細かい毛が生えている柱頭が伸びてきました(上の写真)。
萼片よりちょっと短く、先端が赤いものは苞です。
柱頭が伸びきった状態。ほかのオオバコの個体からの花粉を待ちます。
雌しべが枯れた頃、4本の雄しべがが顔を出してきます(2枚目の写真の2日後の状態)。
薄紫色に見えるのが花粉の入った葯。
萼片の上に見える、反り返った薄橙色の部分が花冠です。この頃にやっと出てきます。
このように雌しべと雄しべの成熟する時期をずらすことによって、自家受精を避ける性質を雌雄異熟(dichogamy)といいます。雌雄異熟のなかでも、雌しべの方が先に成熟するものを雌性成熟(protogyny)といい、オオバコは身近に見られる雌性成熟花としてよく知られています。
野菊の仲間がにぎやかな季節になってきました。
こちらは、ユウガギク。
本当に咲き始めたばかりで、中心の筒状花(黄色く見える)のほとんどはまだ花を開いていません。
周囲の舌状花の淡い紫色の花弁も完全に開ききっておらず、初々しい印象を受けます。
イチジクの旬の時期になりました。上品な甘みとネットリとした食感がいいですね。
食べる前に果実の断面を見てみましょう。
白い部分は花序軸が多肉化した部分。花序の中央部が凹んで壺状になっており、そこに多数の小さな花をつけます。上の写真では、赤い部分がその花が熟した部分です。
このようなタイプは、イチジク属に特異なもので、イチジク状果(synconium)と呼ばれます。
内部を拡大してみます。ニョロニョロのように見える部分1つ1つが花の熟した部分。先端付近に黄色いゴマ粒のような痩果が見えます。
たくさんの花が集まって熟した果序があたかも1つの果実のように見えているわけです。
底面の中央付近には小さな孔が開いており(上の写真の左端)、この孔を通って小さなハチ(イチジクコバチ)が中へ入り受粉を助けることがよく知られています。日本の栽培品種はすべて雌株で自家結実性があるので、このイチジクコバチによる受粉は行われていないのですが。
ちなみに、このイチジクはこの後、イチジクのタルトに調理してもらいました。美味。美味。
生食もいいですが、加工した方がイチジクの美味しさがひきたつ気がします。
ウラジロ科ウラジロ属のシダの一種。お正月飾りで用いられるシダとして馴染み深い。
館山市以南の地域では分布が非常に限られ、谷頭斜面上部に小さな群落を形成していることが多い。
一方で、清澄山周辺の地域では、ごくごく一般に広く分布し、高さが2m近くに及ぶ大群落が見られる(上の写真)。
同じ房総半島内でも分布の偏りがあるのがおもしろいところ。
コナラとカシワの雑種の”コガシワ”。
嫁さんが海岸近くの公園で見つけてきてくれた標本を、撮影台でマクロ撮影しました。
まず、殻斗に注目してみます。
カシワの殻斗の総苞片は長く、その先が反り返りますが、このサンプルではそうなっていません。
殻斗の総苞片が瓦重ね状に圧着するコナラとのちょうど中間的な特徴を示しています。
果実もちょっと細長い丸型で、これもカシワとコナラの中間的な形です。
千葉県では、房総半島南部の海岸地に、このコガシワが分布していることが報告されています。
小穂が密生した総の一部を拡大したもの。
タチスズメノヒエの包穎には、長い毛が生えます
上の写真では、黒紫色の雌しべの柱頭が見えるのがわかります。
葯の色は黄白色であることも本種の特徴。
他のスズメノヒエ属の葯は、雌しべと同じ黒紫色であることが多いです。
”フサノモチ”というモチ米の小穂。
第三小花の護穎と内穎(一般に”籾殻”と呼ばれる部分)に毛が多く、一部が赤く色づいているのが特徴。
コシヒカリの小穂と比べると違いは明瞭です。
食味が大変良いモチ米です。
ヤブガラシの花盤です。
蜜がたっぷりと滲み出しているのがわかります。この蜜を目当てに、アゲハチョウの仲間やスズメバチの仲間等の様々な昆虫ががヤブガラシの花を訪れます。
ヤブガラシの花序の全体写真。枝が1節に2本生じる、”二出集散花序”と呼ばれる形式です。
北アメリカ・中央アメリカ原産の帰化植物。地表面に分枝した枝を広げる小さな植物です。
葉の中央に赤紫色の斑紋があることを本種の識別点としている図鑑もあるが、この写真のように無斑の葉の個体も比較的多く見られるので注意が必要。
確実に同定する場合には、蒴果の毛の有無を見ることが必要です。コニシキソウの蒴果には、上向きに圧着する短かい軟毛が密に生えています(画像中央の丸いもの)。
この特異的な花の形は、トウダイグサの仲間と同じ”杯状花序”。アリによって受粉・種子散布を行うことが知られています。花の脇にいるのは、スカシヒメヘリカメムシです。
El-Nikkor 50mm F4とベローズの組み合わせで撮影。この古い引き伸ばしレンズは、マクロ時の解像度と収差の無さが魅力。本来の使い方とは違いますが、デジタルカメラになってもまだまだ現役です。ただ、天然光のみの撮影の場合には、現像の段階で色味の補正が大幅に必要となります。今後使い込んでいくなかで、撮影時のホワイトバランスの設定等を追い込んでいきたい。
コシヒカリの小穂。6枚の画像から深度合成したものです。
自作の撮影台を作成し、半逆光からの光が入るようにしました。これにより、表面の毛の構造がより鮮明になったと思います。
小穂は3つの小花から構成されます。しかし、第一小花と第二小花は護穎のみに退化しており、登実小花は第三小花だけとなります。基部には非常に小さな第一包穎と第二包穎があります。
夏〜秋にかけて穂をつけるエノコログサの1つ。アキノエノコログサ。ちょっと大きめの穂をつけます。
花序の枝が変化した刺毛(”しもう”)と呼ばれる突起物が、小穂の柄にあることが、エノコログサ属の特徴。一般に”ねこじゃらし”と言われるのは、この刺毛があるためでしょう。
この写真の花では、ちょうど雌しべが出ています。雌しべの後ろには、既に役割を終えた、茶色の雄しべがあるのが見えます。
エノコログサの仲間を見分けるのは、第二小花の護穎が第二包穎(緑の縦縞がある薄い膜状のもの)によってどの程度覆われているかがポイントの1つ。
上の写真のように、第二包穎がちょっと短く、第二小花の護穎が”少し”見えるのがアキノエノコログサの特徴です。