イソギクの花

キク科キク属の多年草のイソギク(Chrysanthemum pacificum )。

舌状花が発達しないキク属の仲間で、海岸に見られるものは3種類。紀伊半島にはキノクニシオギク、四国東部にはシオギク、そして、千葉県房総半島から伊豆諸島を経て、静岡県御前崎までの海岸に、このイソギクが分布しています。

茎の先端に、たくさんの頭花が密集してつくのがイソギクの特徴。
頭花1つ1つを見てみると、周囲にある雌花から咲き始め、次第に中心に向かって花が開いていきます。上の写真では中心部の両性花はまだ開いていません。

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総苞外片の形状が卵形であることも、イソギクのわかりやすい識別点です。

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厚い葉の形は倒披針形。上部まで密に葉をつけます。
裏面には銀白色の毛が密生しています。

このイソギクは日本のキク属の中で最も多い90本の染色体を有していることが知られています。種分化についても、高山植物のイワインチンやオオイワインチン(これらも舌状花が発達しない)との関連も指摘されており、色々と面白いテーマがある植物群の1つです。