単色光と長時間露光の効果
今季の冬の重点テーマは”顕微鏡の撮影技術の向上”。
顕微鏡で微細な構造を写し止めるためには、主に4つの分野に分かれた複合的な技術を磨かなければなりません。
- プレパラートの作成
- 顕微鏡の検鏡
- カメラの撮影
- 画像処理
完全に調整されたMWSさんのプレパラートを用いることで、2番目、3番目の顕微鏡とカメラの問題を1つずつ潰していく方針です。
使用している対物レンズは、Nikon Plan Apo 40x (NA=0.95)。乾燥系でどこまで迫れるのかのチャレンジです。
まずは、モノクロ撮影。
顕微鏡では、フィルターを用いて緑色の単色光で偏斜照明します。
カメラ側は、1秒程度の長時間露光で撮影します。フォーカルプレーンシャッターもしくは手ぶれ補正機構ユニットに起因すると思われる”微ブレ”を軽減させるための対処策です。
得られた画像です。
四角形のTrigonium属の先端部分付近です。
先日の画像では、微細構造が点状にしか見えていません。
一方、今回得られた画像では、この先端部分付近にびっしりと小孔が配列している様子がははっきりわかります。
まだ、画面のざらつきが気になりますが、概ね満足する画像が得られました。
緑色の単色光と長時間露光の2つの効果は予想以上に大きいです。
電線に止まるチョウゲンボウ
至高の珪藻プレパラート
ホシホウジャク
12月に入って寒さが増し、ここ南房総でも見られる昆虫も次第に少なくなってきました。
ただ、気温が上がる晴れた日の正午頃の時間帯には、活発に活動している姿を見ることができる種類もいます。
今日紹介するのは、スズメガの仲間の1種、ホシホウジャク。
紫色の花はトネアザミです。
長い口吻を伸ばして蜜を吸っています。
斜め前から撮影すると、飛翔時に折りたたまれた脚もよくわかります。
上から見た様子。
今度は、斜め後方から。
トネアザミの花の向きに合わせて位置を変え、ホバリングしながら、実に器用に蜜を吸います。
晩秋の房総丘陵
房総丘陵深部、尾根筋の林の様子です。
コナラなどの落葉樹の葉は既に落ちたものが多く、初冬の雰囲気が濃くなりました。
まだ、谷筋のイロハモミジ等の紅葉は残っているものも見られます。
深い谷の紅葉を橋の上から撮影しました。
斜面上部の樹種が落葉した後だからこそ、見られる光景です。
洞窟からの眺め
日が暮れるのが早いこの時期。
16時前には林内での撮影は厳しくなりますね。
そこで、海岸沿いのマント群落を探索します。
10月半ばの台風の影響は大きくて、北西に開けた場所の落葉樹の樹木の葉はほとんどなく、林床は落葉・落枝で覆われてしまっていました。
状態の良いものを探すには、足で稼ぐしかありません。
今日の写真は探索の途中で見つけた光景。
西向きに開けた洞窟から撮影しました。
鏡ヶ浦の海の向こうに洲崎灯台、その奥には伊豆半島の天城山系の山並みが見えます。
前日までの強い西風が嘘のような、穏やかな海の光景でした。
オオトビサシガメ
2cm以上もある巨大なサシガメの仲間。
林道脇のイヌビワの葉の上にいるところを撮影。午後になって日が陰った状態で、動きは緩慢な個体でした。
一見すると茶褐色の地味なサシガメですが、じっくり観察すると、精巧な翅の模様等の見るべきところがたくさんあります。
サシガメといったら、太くて長く伸びた口吻。この口吻を他の昆虫に刺して捕食します。
刺激を与えると人間も刺されることがあり、しかも”激痛”らしいです。
このオオトビサシガメはサイズが巨大だけあって、この口吻にも迫力があります。
渡り鳥の視点から
スダジイの萌芽枝の向こうに光輝く館山湾、鏡ヶ浦の海が見えます。
一番奥の淡い島影は伊豆大島のもの。
これは、三芳地区の金毘羅山の山頂からの眺め。
館山低地から三芳方面を見て、一番高く見える山。
鳥見の先輩によると、この金毘羅山で生じる上昇気流によって高度を上げた猛禽類(ハチクマ、サシバ、ノスリなど)が洲崎方面へ向かって渡っていくそうです。
この時も、人影に驚いたノスリが1羽飛び立ちました。
翌日の風を待って待機していた個体かもしれません。
渡り鳥と同じ視点で地形を眺めると、下から見上げるいつもの地形が、また違った意味を帯びながら見えてきます。
今年もやってきた冬の風物詩
晩秋の暖かい陽だまり。
柔らかい日差しを浴びたマテバシイの葉っぱをめくると、いました!
オオキンカメムシ。
このオオキンカメムシ、夏の間に日本海側にいた個体が、越冬のために南へ移動します。
南房総もよく知られた越冬地の1つ。
娘も興味津津。実は娘のどんぐり拾いに付き合い、その途中で見つけたのでした。
オオアオイトトンボ
メタリックな青色が美しい大型のイトトンボ。
晩秋になってからも、活発に活動していることが多いです。
このオオアオイトトンボは、翅を開いて止まるのも特徴の1つ。
オヒシバの小穂に止まる連結したオス・メスの個体を撮影しました。
ナツアカネ
赤色がひときわ鮮やかな赤とんぼの仲間。
オスは腹部だけではなく、胸部から正面の額まで赤く染まります。
メスは、腹部の背側だけ赤くなります。
傷ついた翅が、過ぎ去る秋の季節を感じさせます。